作成日 2009/2/15
最終更新日 2009/2/15
ダウンキャスト
オブジェクト指向プログラミングをやっていると、スーパークラス型で宣言された変数をサブクラス型に変換したいと思うことがあります。この、「スーパークラス型からサブクラス型へ変換する」ことを
ダウンキャスト
と呼びます(※1)。
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※1:逆に、「サブクラス型からスーパークラス型へ変換する」ことを
アップキャストと言います。ただ、アップキャストはダウンキャストとは違い、絶対に成功するし、プログラミング上特別な操作も必要ないことが多いので、意識したことがないです。
ClassSuper、ClassSubの2つのクラスがあるとし、ClassSubはClassSuperを継承しているとしよう。
このとき、ClassSubのオブジェクトはClassSuperのクラス型で宣言された変数に代入できる(※1)んです。
で、そのClassSuperクラス型の変数に代入してあるオブジェクト(※2)をもとのClassSubクラス型に代入する(変換する)ことをダウンキャストといいます。
ダウンキャストは失敗することがある(継承関係に無いクラスのオブジェクトをキャストしようとした場合)ので、多くの言語では失敗したときには何らかの手段で失敗したことを知らせてくれます。
■どのようなときにダウンキャストを使うか
VB6.0、VBAではオブジェクトを動的配列(Collectionオブジェクト)に入れてしまうと、動的配列からオブジェクトを取得したときにはVariant型となりますから、本来の型にキャストさせる必要があります。
また、ExcelライブラリやOfficeライブラリが提供するメソッドの戻り値がスーパークラス型だったりObject型となっている場合(※3)があり、このような時もキャストが必要です。
まあ、キャストしなくても、コンパイルは通るかもしれませんが、メソッド候補一覧が出なくなったりコンパイル時のチェックがあまくなるのでお勧めできません。
C++の場合は、どうだろうか。きっとあるということで。
Javaの場合ですと、Java1.4以前の場合、Genericsがないので動的配列(java.util.Vector、java.util.ArrayList)や連想配列(java.util.HashMap)に入れたオブジェクトを配列の要素から取り出したときにキャストが必要となります。
他には良く知らない。
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※1:一応、このことをアップキャストと言いますが、「アップキャスト」と言う単語を使ったことがないです。
アップキャストは全体に成功するのであえて言及する必要が無いからだと思います。
※2:正確には「ClassSuperのクラス型の変数から参照されているオブジェクト」。
※3:例えば、Excel.Sheets.Itemメソッド、
Office.CommandBarControls.Addメソッド、MSForms.Controls.Addメソッドなどです。
VB6.0・VBA、C++、Javaと言語別に説明します。
■VB6.0、VBAの場合
VB6.0、VBAの場合は実は特別な構文は無いんです。
目的のクラス型で宣言された変数に代入するだけで、勝手にキャストされます。
例:
標準モジュール(Module1) |
Sub sample()
Dim objCtl As Office.CommandBarControl
Dim objCtl_pop As
Office.CommandBarPopup
Set objCtl =
Application.CommandBars.Item(1).Controls.Item(1)
Set objCtl_pop = objCtl 'キャスト
End Sub
|
もし、キャストに失敗した場合には実行時エラー(13)が発生します。
■C++の場合
C++のページではないのでごく簡単に説明します。
C形式のキャストでも可能ですが、dynamic_castを使用したほうがいいです。
やり方は
ClassSub*
objSub =
dynamic_cast<ClassSub*>(objSuper);
のような感じです。
え、わからないって?詳しいことは「dynamic_cast」で検索をかけてください。
キャストに失敗した場合ですが、ポインタの場合はNULL(0?)が、参照の場合はstd::bad_cast例外がスローされます。
■Javaの場合
Javaのページではないのでごく簡単に説明します。
C形式のキャストで記述します。
やり方は、
ClassSub
objSub = (ClassSub)objSuper;
のような感じです。
キャストに失敗した場合はjava.lang.ClassCastException例外がスローされます。
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